ロイのブログ

選挙について適当に。

アメリカ中間選挙 =Primary Election=メモ #5 NE,OR,ID

 今年11月6日に予定されているアメリ中間選挙予備選挙のメモ書き。この記事では5月15日に予備選挙が行われた、ネブラスカオレゴン・アイダホの3州の選挙結果と今後の見所を紹介する。
なお、本記事では主に連邦上院、下院、州知事の各選挙を中心にメモ書き程度に取り上げ、地方選挙は基本的に取り扱わない。
今回から、過去の選挙結果の掲載は取りやめる。ご了承ください。

ネブラスカ州

 ネブラスカ州は全米で唯一州議会で一院制を採用しており、大統領本選で勝者勝ち取り方式を採用していない2州の1つである。ネブラスカ共和党が伝統的に強い地域で、1940年以降の大統領選で民主党候補を1回しか選んでいない。ちなみに、筆者の居住地静岡市ネブラスカ州最大都市のオマハ市は姉妹都市である。

 ネブラスカ州は連邦上院・下院、知事の予備選挙が行われた。このうち、オマハ周辺を選挙区とする連邦下院2区は共和党民主党の支持が拮抗しており、注目選挙区となっている。共和党予備選挙では、現職のドン・ベーコン氏が無投票で党の指名を獲得した。民主党予備選挙では、サンダース上院議員が支援し、進歩主義者のカラ・イーストマン氏が、元職で民主党保守派’’ブルードッグ’’のブラッド・アッシュフォードを破り本選挙に進出した。保守が強い地域で左派色の強い民主党候補は支持が広がりにくいという理由で、全米メディアはこの選挙区の情勢評価を予備選後に「大接戦」から「接戦だが共和党リード」に変更している。

 このほか、上院議員は州初の女性議員となった共和党のデブ・フィッシャー氏が順当に予備選で勝利した。州知事選、連邦ネブラスカ1区・3区でも共和党の候補が順当に党指名を獲得している。本選挙でも共和党が優勢と見られている。

オレゴン州

 
 オレゴン州東海岸に位置している。最大都市ポートランドは「住みたい町No1」にアメリカ国内の情報誌で選ばれるなど、非常に人気なエリアだ。オレゴン州は、東海岸のカリフォルニア・ワシントン州と並び民主党が強く、非常にリベラルな気質のある州である。1988年以降大統領選で民主党候補を選んでおり、州議会両院でも民主党が優勢である。

 オレゴン州では連邦下院・知事の予備選挙が行われた。全米で初めてバイセクシュアルを公表した民主党のケイト・ブラウン知事が任期満了となる。民主党予備選でもブラウン氏が圧勝し、党の指名を獲得した。一方、共和党は下院議員ヌート・ブエラー氏が予備選挙を制した。ブエラー氏はブラウン知事に2012年州務長官選挙で負けており、今回の知事選はこの選挙と同じ顔ぶれとなる。本選挙はブラウン知事がリードする展開だ。

 連邦下院では全6選挙区で現職(民主党5人・共和党1人)が予備選挙で勝利し、本選挙に進む。6現職は本選挙でも当選が有力とされている。

アイダホ州


 アイダホ州は、だれもが想像する通り「ポテト」の生産が盛んで、全米3分の1の生産量を誇る。アイダホ州は極めて共和党が強い地域で、大統領選で1964年以降はずっと共和党候補を選んでいる
 
 アイダホ州では、連邦下院と知事の予備選挙が行われた。共和党予備選挙では共和党のブッチ・オター知事が引退するため、新人同士の争いとなる。共和党予備選ではブラッド・リトル副知事が、党内で有力であるラウル・ラブラドル連邦下院議員を破り勝利した。民主党は、州下院議員パウレット・ジョーダン氏が前回知事選挙にも立候補し、多くの地方議員が指示したA.Jバルコフ氏を破り勝利した。ジョーダン氏が本選挙で勝利した場合、初のネイティブアメリカン州知事になるが、本選挙は共和党がのリトル副知事が優勢だとみられている。

 連邦下院では全2選挙区で予備選挙が行われた。本選挙では共和党がアイダホの議席を独占する見通しだ。

次回記事ではこれらの3州と同日に予備選挙が行われ、連邦下院の選挙区割りが改定されたペンシルベニア州を取り上げる。

アメリカ中間選挙 =上院選挙(senate)展望第1回前半=メモ#5 

 今年11月6日に予定されているアメリカ連邦議会上院選挙の予備選挙が各州で行われている。そこで、今回は早くも上院の議席予測を行う。各報道機関、調査機関による世論調査の結果や評価を元に、筆者が独自に予測する。それによると、民主党共和党のどちらが院内多数派になってもおかしくない状況だが、あえて評価するならば、民主党共和党から2議席奪い選挙後51議席になり、共和党が院内少数派に転落する予測だ。議席予想幅を(確実~予測~可能性)とすると、民主党(47~51~53)、共和党(47~49~53)となる。
 
 11月6日に予定されているアメリカ中間選挙は、大統領任期の折り返し地点で行われるため政権の中間評価の役割を担い、選挙の結果は今後の政権運営の行方を左右しうる。中間選挙は通常政権を担っている政党に逆風が吹く傾向がある。前のオバマ政権時に民主党は2010年、2014年の中間選挙で大敗を喫している。今のトランプ政権は、‘’歴史的な低支持率‘’を記録しており、共和党が今回選挙で苦戦を強いられるのは避けられないとみられている。実際、去年の連邦上院アラバマ補選、連邦下院ペンシルベニア18区補選では共和党の地盤で民主党候補に敗北しており、すでにその予兆が現れている。

 中間選挙では、連邦上院議会の改選議席3分の1と、連邦下院議会の全議席、39の州知事が任期満了となる。また、各州・郡で副州知事や州法務長官、州議会両院などの地方選挙も同時に行われる。

 上院は2年ごとに3分の1ずつ改選され、今回は第1階級(class1)に該当する33人と任期途中に辞職した議員の’’委任任命’’議員2人が改選となる。党派別にみると、民主党が24人、共和党が9人、民主党系無所属が2人である。現在の上院勢力は、政権与党の共和党が51議席、野党の民主党が49議席と伯仲している。上院多数派を狙う民主党は、去年の補欠選挙や各種世論調査から強い追い風が吹いており、共和党からたった2つの議席を奪うだけで議会多数派となるが、6人の現職が共和党の地盤「レッドステート」から選出されており、まず現有議席を維持できるかがポイントである。一方、窮地に立たされる共和党だが、改選議員が少ないため、レッドステート選出の民主党現職を標的に絞ることができ、任期残り2年のトランプ政権を支えるために上院での勢力拡大を狙う。

 民主党は、カリフォルニア、コネチカットデラウェア、ハワイ、メーン、メリーランド、マサチューセッツミネソタニュージャージーニューメキシコ、ニューヨーク、ロードアイランド、バーモント、バージニア、ワシントンの15人の現職が盤石である。ミシガン、ペンシルベニアオハイオウィスコンシンミネソタ(特)の5人の現職はやや有利だ。フロリダ、インディアナミズーリ、モンタナ、ノースダコタウェストバージニアの6人の現職は共和党新人と横一線の戦いとなっている。

 共和党は、ミシシッピミシシッピ(特)、ネブラスカ、ワイオミングの4人の現職、ユタの新人が盤石である。テキサスは現職がややリードする。アリゾナ、テネシーの2人の新人、ネバダの現職は民主党新人と横一線の戦いとなっている。
 
 次回の記事では注目選挙区を簡単に紹介する。

アメリカ中間選挙 =Primary Election=メモ #4 NC

今年11月6日に予定されているアメリカ中間選挙予備選挙が5月になり本格化してきた。今月は11州で予備選挙が行われる予定だ。5月9日は、オハイオ州ノースカロライナ州インディアナ州ウェストバージニア州予備選挙が行われ、これらの州では本選挙に向け6ヶ月間の選挙戦がスタートした。
今回はノースカロライナ州を取り上げる。なお、ノースカロライナ州では今回連邦上院議員は改選対象ではないので、予備選挙は連邦下院のみとなる。

ノースカロライナ州

今回の予備選挙結果
〇連邦下院 ノースカロライナ9区

共和党

候補者 得票数 得票率
マーク・ハリス 17,223 48.5%
ロバート・ピッテンジャー(現職) 16,409 46.2%
クレランス・ゴーズ 1,862 5.2%


民主党

候補者 得票数 得票率
ダン・マックリーディー 37,823 82.8%
クリスチャン・カノ 7,837 17.2%

  連邦下院ノースカロライナ9区共和党予備選挙で現職議員が敗れた。今年の中間選挙に向けた予備選挙で現職が敗れるのはこれが初めてとなった。敗れたのは4期目を目指したロバート・ピッテンジャー氏で、勝利したのは前回2016年の予備選でわずか146票差で落選したマイク・ハリス氏だ。今回の選挙も接戦となり、得票率で見ると2.3%の僅差だった。一方、民主党予備選では退役軍人のダン・マックリーディー氏が勝利した。マックリーディ氏の得票数は、今回の共和党の両候補者の合計得票数を上回った。ノースカロライナ州9区はペンシルベニア級18区より民主党に優しい選挙区と言われており、民主党が最重要視する選挙区の1つとなるだろう。なお、予備選挙はまだ序盤であり、各州の予備選挙が多数予定されている。落選したピッテンジャー氏の去就はまだ明らかとなっていない。


===直近の選挙結果===

〇連邦下院議員(ノースカロライナ州選出)
民主党 共和党
2010年 5議席 13議席
2012年 4議席 14議席
2014年 4議席 14議席
2016年 4議席 14議席

アメリカ中間選挙 =Primary Election=メモ #3 OH

今年11月6日に予定されているアメリカ中間選挙予備選挙が5月になり本格化してきた。今月は11州で予備選挙が行われる予定だ。5月9日は、オハイオ州ノースカロライナ州インディアナ州ウェストバージニア州予備選挙が行われ、これらの州では本選挙に向け6ヶ月間の選挙戦がスタートした。
なお、本記事では主に連邦上院、下院、州知事の各選挙を中心にメモ書き程度に取り上げ、地方選挙は基本的に取り扱わない。
今回はオハイオ州を取り上げる。

オハイオ州

今回の予備選挙結果
〇連邦上院

民主党

候補者 得票数 得票率
シェロー・ブラウン(現職) 無投票 -

共和党

候補者 得票数 得票率
ジェームス・レナッチ 360,475 47.4%
マイク・ギボンズ 241,109 31.7%
メリッサ・アキソン 99,455 13.1%
その他の候補者 59,769 7.9%
オハイオ州知事

共和党

候補者 得票数 得票率
マイク・デワイン 494,766 59.8%
メリー・テイラー 332,273 40.2%


民主党

候補者 得票数 得票率
ジャンニン・レイク 423,264 62.3%
デニス・クシニッチ 155,694 22.9%
その他の候補 100,780 14.9%

 オハイオ州は人口構成や産業分布が全米平均に近いため、「アメリカの縮図」と呼ばれ、それもあってか1964年以降はオハイオ州で勝利した者が全員大統領に当選している。地方選挙レベルでは共和党が優勢である。
 今回の予備選挙では、連邦上院議員選とオハイオ州知事選に注目が集まった。
 2016年大統領選でトランプ氏が8ポイント差で勝利した中で改選を迎える民主党のシェロー・ブラウン氏は無投票で指名を獲得した。一方、議席獲得を狙う共和党ではトランプ大統領の支持を受けた連邦下院議員のジェームス・レナッチ氏が勝利した。
 次にオハイオ州知事線。2016年大統領選で共和党予備選挙に出馬した現職知事のジョン・ケーシック氏は今回出馬しない。その後継争いとなる共和党予備選挙では州司法長官のマイク・デワイン氏が楽々当選した。一方民主党はリベラル系2人による争いとなった。民主党最左派のエリザベス・ウォーレン上院議員マサチューセッツ州選出)の支持を受けた元州司法長官のリチャード・コードレー氏がバーニー・サンダース上院議員バーモント州)の支持を受けた元連邦下院議員のデニス・クシニッチ氏を大差で破り当選した。いずれの党も下馬評通りの結果となった。なお、今回指名権を獲得した両党の候補者は、2010年のオハイオ州司法長官選挙と同じ顔ぶれで、この時は共和党のマイク氏が1ポイント差で勝利している。


===直近の選挙結果===

〇大統領

【2016年】

ヒラリー・クリントン民主党 ドナルド・トランプ共和党
43.56% 51.69%

【2012年】

バラク・オバマ民主党 ミット・ロムニー(共和党
50.58% 47.60%
〇連邦上院

【2016年】

ロブ・ポートマン(共和党現職) テッド・ストリックランド(民主党新人)
58.0% 37.2%

【2012年】

シェロー・ブラウン(民主党現職) ジョシュ・マンデル(共和党新人)
50.7% 44.7%
オハイオ州知事選
シェロー・ブラウン(共和党現職) エドフィッツジェラルド民主党新人)
63.6% 33.0%
オハイオ州司法長官選

【2010年】

リチャード・コードレイ(民主党現職) マイク・デワイン(共和党新人)
46.2% 47.5%
〇連邦下院議員
民主党 共和党
2010年 5議席 13議席
2012年 4議席 14議席
2014年 4議席 14議席
2016年 4議席 14議席

アメリカ中間選挙 =Primary Election=メモ #2 IN

 今年11月6日に予定されているアメリカ中間選挙予備選挙が5月になり本格化してきた。今月は11州で予備選挙が行われる予定だ。5月9日は、オハイオ州ノースカロライナ州インディアナ州ウェストバージニア州予備選挙が行われ、これらの州では本選挙に向け6ヶ月間の選挙戦がスタートした。
なお、本記事では主に連邦上院、下院、州知事の各選挙を中心にメモ書き程度に取り上げ、地方選挙は基本的に取り扱わない。
今回はインディアナ州を取り上げる。

インディアナ州

今回の予備選挙結果
〇連邦上院

民主党

候補者 得票数 得票率
ジョー・ドネリー(現職) 無投票 -

共和党

候補者 得票数 得票率
マイク・ブラウン 208,505 41.2%
トッド・ロキータ 151,906 30.0%
ルーク・メッサー 146,081 28.8%
〇連邦下院(インディアナ6区)

共和党

候補者 得票数 得票率
グレグ・ペンス 47,955 65.3%
ジョナサン・ラム 17,523 23.9%
マイク・キャンベル 3,229 4.4%
その他の候補 4,758 6.6%

民主党

候補者 得票数 得票率
ジャンニン・レイク 8,887 38.3%
ジム・プルート 5,981 25.8%
レーン・シークマン 3,606 15.6%
その他の候補 4,708 20.3%

インディアナ州共和党が強い地域であり、マイク・ペンス副大統領が州知事を務めた州である。政権のお膝元とも呼べる州で、改選議員となるのは連邦上院のジョー・ドネリー氏(民主党)と連邦下院議員の9人である。民主党ジョー氏は、共和党が狙う1番の的と評されており、今回の中間選挙でも特に注目が集まっている選挙区である。

 今回の上院予備選は、民主党は無投票でジョー氏が指名され、共和党のみの選挙となった。共和党では開票の結果、実業家のマイク・ブラウン氏がともに連邦下院議員のトッド・ロキータ氏、ルーク・メッサー氏の両氏を破り当選した。選挙選では、どの候補者もトランプ氏との近さをアピールした。ロキータ、メッサーの両氏は、世論調査で優勢が伝えられたブラウン氏が過去30年にわたり民主党予備選挙で投票していたことを批判し、「真の共和党候補ではない」と批判した。しかしブラウン氏は「居住している地方議会のための行動」と反論、加えて両氏を「ワシントンの沼に浸かっている」と批判した。このような批判合戦が繰り広げられ、共和党支持者の中からは「共和党候補同志の痛烈な皮肉がドネリーを助ける」との懸念の声が上がった。結局、政治経験の浅いブラウン氏が政治経験豊富な2氏を下し、11月の上院選で民主党のドネリー氏と対決することになる。予備選挙後の11日にはインディアナ州トランプ大統領・ペンス副大統領が早くも選挙集会を開き、政権がインディアナ州をいかに重点区と位置づけているか示すことになった。

 インディアナ州では連邦下院の予備選挙も行われ、インディアナ6区ではマイク・ペンス副大統領の兄、グレグ・ペンス氏が共和党予備選挙で勝利した。インディアナ6区は共和党の指定席と呼ばれるほどの地盤で、グレグ氏の本選挙での当選は確実視されている。

===直近の選挙結果===

〇大統領

【2016年】

ヒラリー・クリントン民主党 ドナルド・トランプ共和党
37.91% 56.82%

【2012年】

バラク・オバマ民主党 ミット・ロムニー(共和党
43.93% 54.14%
〇連邦上院

【2014年】

トッド・ヤング(共和党新人・後継) エヴァン・ベイ(共和党新人)
52.1% 42.4%

【2012年】

ジョー・ドネリー(民主党現職) リチャード・ムルドック(共和党新人)
50.0% 44.3%
〇連邦下院
民主党 共和党
2010年 3議席 6議席
2012年 2議席 7議席
2014年 2議席 7議席
2016年 2議席 7議席

アメリカ中間選挙 =Primary Election=メモ #1 WV

 今年11月6日に予定されているアメリカ中間選挙予備選挙が5月になり本格化してきた。今月は11州で予備選挙が行われる予定だ。5月9日は、オハイオ州ノースカロライナ州インディアナ州ウェストバージニア州予備選挙が行われ、これらの州では本選挙に向け6ヶ月間の選挙戦がスタートした。
なお、本記事では主に連邦上院、下院、州知事の各選挙を中心にメモ書き程度に取り上げ、地方選挙は基本的に取り扱わない。
今回はウェストバージニア州を取り上げる。

ウェストバージニア州

今回の予備選挙結果
〇連邦上院

民主党

候補者 得票数 得票率
ジョー・マンチン(現職) 111,589 69.8%
ポーラ・ジーン・スウェレンゲン 48,302 30.2%

共和党

候補者 得票数 得票率
パトリック・モリシー 47,571 34.9%
エバン・ジェンキンス 39,888 29.3%
ドン・ブランケンシップ 27,153 19.9%
その他の候補 21,608 15.9%

 
 ウェストバージニア州は伝統的に民主党が強い地域だったが、2000年以降の全ての大統領選挙で共和党候補を選出しており、2016年はドナルド・トランプ氏(共和党)がヒラリー・クリントン氏(民主党)に40ポイントの差をつけて勝利した。地方選挙では2014年まで州議会両院で民主党が多数派だったが、2015年以降は共和党が両院で多数派となっている。今回改選となるのは、連邦上院のジョー・マンチン氏(民主党)と連邦下院の3人の共和党議員である。

 ウェストバージニア州で一番注目を集めたのは共和党予備選挙だ。開票の結果、州司法長官のパトリック・モリシー氏が、連邦下院議員エバン・ジェンキンス氏、元石炭会社幹部のドン・ブランケンシップ氏らを抑えて勝利した。今回選挙の主要候補の一人、ブランケンシップ氏は選挙戦で人種差別発言を繰り返したほか、自身が経営している炭鉱施設で29人が死亡した事故の責任を取って1年服役した経験がある。党幹部は仮にブランケンシップ氏が共和党候補となった場合、民主党の現職、ジョー・マンチン氏の議席を奪える可能性が低くなると懸念していた。しかし、投票日の直前に、トランプ大統領ブランケンシップ氏以外の候補者に投票するようにツイッターで呼びかけた。米政治サイトポリティコは、このツイートがブランケンシップ氏の敗北にある程度は寄与したと分析している。一方、当選したモリシー氏は‘’共和党受けする候補(Politico誌)‘’と評価されており、議席を奪うための良いタマと見られている。
 民主党の予備選は、現職で補欠当選を含めて3期目を目指すジョー・マンチン氏が10万を超える票を集め、圧勝した。
 2016年大統領選でトランプ大統領が最も高い得票率を記録したウェストバージニア州民主党のベテラン議員が再選できるかという構図になり、大激戦が予想されている。ウェストバージニアの上院選挙は、今回の中間選挙で最も注目に値する選挙選となりそうだ。


===直近の選挙結果===

〇大統領

【2016年】

ヒラリー・クリントン民主党 ドナルド・トランプ共和党
26.48% 68.63%

【2012年】

バラク・オバマ民主党 ミット・ロムニー(共和党
35.54% 62.30%
〇連邦上院

【2014年】

ナタリー・テナント(民主党新人・後継) シャリー・ムーア・キャピト(共和党新人)
34.47% 62.12%

【2012年】

ジョー・マンチン(民主党現職) ジョン・ラーゼ(共和党新人)
60.55% 36.50%
〇連邦下院
民主党 共和党
2010年 1議席 2議席
2012年 1議席 2議席
2014年 0議席 3議席
2016年 0議席 3議席

2019参院選予測(1)北海道

 政局がめまぐるしく展開し、解散総選挙もささやかれている中で、あえてこのタイミングで来年予定されている第25回参議院議員通常選挙の各選挙区の情勢分析を行いたいと思う。一選挙オタクの自慰としての選挙分析であるので、そんな程度の内容として軽く受け止めて欲しい。また記事に個人の予測を含むので、完全に正確な内容ではない点に留意して欲しい。

■北海道(13年:自民・民主 16年:自民・民進民進

<予想>評価基準:A:優勢 B:リード C:当選線上 D:劣勢
※なお政党名は2018年5月1日現在の所属政党である。

評価 名前 政党 現新 経歴
高橋はるみ 自民 北海道知事
C- 岩本剛人 自民 北海道議
C+ 小川勝也 野党系*1 民進党参院幹事長、元防衛副大臣
未定 立民 - -
畠山和也 共産 衆院議員

 定数2から3に増え、3議席目を巡る激戦が予想される。16年に続き非自民で2議席獲得を目指す野党系は、道内に9人の国会議員を抱える立民が候補者擁立の主導権を握りそう。自民は現職の伊達忠一参院議長が選挙時に80歳を迎えるが、進退に言及しておらず、本格的に情勢が動き出すのは伊達氏の去就が明らかになってからとなりそうだ。

 17年衆院選比例北海道ブロックで与党4(自民3、公明1)野党4(立民3、希望1)と伯仲し、小選挙区では野党が与党の議席を二つ奪った。

 立民は枝野幸男代表が「少なくとも1人は立てる。2人立てるかどうかは全体状況を見て考える」と述べ独自候補を出す意向だが、現職の小川は家族の不祥事で出馬に黄信号。

 自民では過去2回、参院道選挙区の候補公募で次点となった道議の岩本が早くも出馬を意気込む。党内には道知事4期目の高橋を推す声があり、来年4月の任期満了で国政くら替えとの憶測も。今年4月の二階派パーティーでも講演で転身を匂わせたが、副知事人事を巡る党道連との軋轢が尾を引いている。自民候補が岩本と高橋の2人になると、知名度が高い高橋に票が集中し、1議席のみ獲得というパラドックスが起きる可能性も。

 大地は16年参院選、17年衆院選で自民支援に回ったが不発に終わった。鈴木宗男代表は昨年4月に公民権停止が解除され、自民に復党し比例区から出馬との説もあるが、自民道連の反発は根強いようだ。とはいえ大地は17年衆院選で道内20万票を獲得。両党の思惑が交錯している。

 共産は既に前衆院議員の畠山の擁立を表明。17年衆院選で立民躍進のあおりを受け道内の比例議席を失っており、党勢拡大のためにも本気で勝ちに行く姿勢だ。

 各党が参院選の前哨戦と位置づける4月の統一地方選の道知事選、道議選、札幌市長選、札幌市議選も激戦予想。特に野党は版図を広げるチャンスと捉えており、北海道は選挙オタクの注目が特に集まる地域となりそうだ。

(共同=ココナツ・チャーリイ)

この記事はココナツ・チャーリイ氏(@CharlieInTheFog)のご厚意によって校閲されています。

*1:小川氏は民進党所属だが、現時点で国民民主党への参加態度を明らかにしていないので、野党系とした。